成功のカギは、幼少期の働きかけの質にある

幼少期の教育を上手に実行することは、大きな利益をもたらす可能性がある。ではもっと後になってからの介入ではどうだろう? 実のところ、子供が成人後に成功するかどうかは幼少期の介入の質に大きく影響される。

スキルがスキルをもたらし、能力が将来の能力を育てるのだ。幼少期に認知力や社会性や情動の各方面の能力を幅広く身に付けることは、その後の学習をより効率的にし、それによって学習することがより簡単になり、継続しやすくなる。

そして、幼少期の介入は少なくとも、もうひとつの重要な特質を持っている。大半の社会政策を悩ます公平性と効率性との二律背反関係がほぼ存在せず、損失は利益を上回らない。幼少期の介入は経済的効率性を促進し、生涯にわたる不平等を低減する。

恵まれない環境で幼少期にきちんとした基礎的なスキルを育成しないままに思春期になってしまうと、状況を改善しようとする介入(公的な職業訓練プログラムや成人への教育プログラムなど)は、公平性と効率性の二律背反関係に直面してしまう。そして、思春期の介入は、経済的効率性の点から正当化するのが困難であり、一般に収益率が低い。

それとは対照的に、幼少期に投資を集中し、その後の投資でフォローアップすれば、公平性と効率性の両方を達成できるのだ。

幼少期の教育は、学力だけでなく忍耐力も高める-その3

IQを高める効果が小さいことについては、ほかの研究でも認められた。だが、IQ以外の主要な効果は継続し、非認知能力の向上もそのひとつだった。IQテストの結果は変わりなかったものの、14歳の時点で学力検査をしたところ、就学前教育を受けた子供は受けなかった子供よりも学校へ行っている率が高く、より多くを学んでいたことから成績がよかった。さまざまな社会行動についても、よい影響が見られた。

最終的な追跡調査(ペリー就学前プロジェクトでは40歳、アベセダリアンプロジェクトでは30歳)では、就学前教育を受けた子供は、受けなかった子供よりも学力検査の成績がよく、学歴が高く、特別支援教育の対象者が少なく、収入が多く、持ち家率が高く、生活保護受給率や逮捕者率が低かった。

ペリー就学前プロジェクトの利益(費用1ドル当たりの年間利益)の率は6%から10%と見積もられる(第2次世界大戦後から2008年までの株式の配当5.8%よりも多い)。この見積もりは、このところ考慮されるようになった心と体の健康がもたらす経済的利益を含んでいないので、控えめな数字である。

幼少期の教育は、学力だけでなく忍耐力も高める-その2

アベセダリアンプロジェクトは、1972年から1977年に生まれた、リスク指数の高い家庭の恵まれない子供111人を対象に実施された。実験開始時の対象者の平均年齢は生後4.4カ月だった。プログラムは年間を通じて行われ、子供が8歳になるまで継続された。子供たちは21歳まで継続して調査され、30歳時点の追跡調査が2012年初めに実施された。 ペリー就学前プロジェクトでもアベセダリアンプロジェクトでも、実験グループの子供が対照グルーブの子供と比較してよい結果を得るというのが一貫したパターンだった。ペリー就学前プロジェクトの被験者になった子供は、当初はIQが高くなったが、その効果はしだいに薄れて、介入が終了して4年経つとすっかり消えた。

幼少期の教育は、学力だけでなく忍耐力も高める-その1

「幼少期の教育は、学力だけでなく忍耐力も高める」というテーマに関する研究では、幼少期の環境を豊かにすることが認知的スキル(IQテストや学力検査などによって測定される能力)と非認知的スキルの両方に影響を与え、学業や働きぶりや社会的行動に肯定的な結果をもたらすことが示された。しかも、そうした効果はずっと後まで継続します。

ペリー就学前プロジェクトは、1962年から1967年にミシガン州で、低所得のアフリカ系58世帯の子供を対象に実施された。就学前の幼児に対して、午前中に毎日2時間半ずつ教室での授業を受けさせ、さらに週に1度は教師が各家庭を訪問して90分間の指導をしました。

指導内容は子供の年齢と能力に応じて調整され、非認知的特質を育てることに重点を置いて、子供の自発性を大切にする活動を中心としていました。教師は子供が自分で考えた遊びを実践し、毎日復習するように促した。復習は集団で行い、子供たちに重要な社会的スキルを教えました。就学前教育は30週間続けられた。そして、就学前教育の終了後、これを受けた子供と受けなかった対照グループの子供を、40歳まで追跡調査したのです。その結果は次回のブログで・・・・。

子供に言ってはいけない言葉ーその3

言ってはいけない言葉ーその3失敗しないようにね

 親として心配だったり、気をつけて、という意味合いがあるのでしょうが、これはマイナスのプレッシャーになります。失敗してはならない、間違えてはならないと思えば、どうしても萎縮しがちになります。子どもは、親の擁護があるうちにたくさんの小さな失敗を繰り返すことが必要で、それを積み重ねて成長していきます。失敗してもリカバリーできるという経験が人生の大きな財産になります。

 第5段階の「自己実現の欲求」は、自分の能力や可能性を最大限に発揮し、あるべき理想の自分に近づきたいという欲求です。学習などで目標達成することをはじめ、創作、研究、運動、芸術などさまざまな形で自己実現を図ろうと試みるようになります。

 この欲求の実現を後押しするのは、挑戦する気持ちです。失敗を恐れると挑戦する気力をそいでしまうことになりかねません。ぜひ、失敗を恐れずに取り組めるよう応援してほしいと思います。

子供に言ってはいけない言葉ーその2

言ってはいけない言葉2ダメ

 前回述べましたマズローの5つの欲求のうちの第4段階の「承認欲求」は、帰属欲求があってこその欲求です。家庭という場所への帰属意識が高まると、家族に自分の存在を認めてほしいという気持ちが芽生えます。この承認欲求が叶えられないと内的な心が満たされません。すると家庭内での行動に支障をきたすようになります。

 この承認欲求を満たすかかわり方が、「褒める」「認める」「感謝する」「労う」です。できたことを褒める、やったことを認めるということと共に、手伝ってもらって「助かった」という感謝や、「よくやったね」と、頑張ったことへの労いも重要なかかわり方です。

 ですから、頭ごなしの「ダメ」はもってのほかです。よほど危険なことをしているときは必要かもしれませんが、できなかったことに対する「ダメだね」「なぜ○○できないのか」などという否定は、承認の反対にあたり避けなければなりません。「ダメ出し」して責めるのではなく、「どうしたらできるようになるのか」を一緒に考えてあげてください。

 また、「○○ダメ!」(○○は、子供の名前)では無く、「○○君、その行為がいけない」 もしくは、「○○さんの言葉がいけない」と本人自身を否定するのではなく、その行為、今の言った言葉、行動がいけない と悪いところと理由等を子供に伝えると同時に相手の立場を認識させる意識に基づいて考える事を教えるようにして下さい。

子どもに言ってはいけない3つの言葉ーその1

言ってはいけない言葉その1・・・勉強しなさい

言わないと勉強しようとしないし、言ってもいうことを聞かないという状況に陥ると、どんどん言い方がきつくなり、「なんでやらないの!?」と責めたり「困るのはあなたよ!」と脅したり、揚げ句の果てに「もう、知らないから!」と突き放したりと、NGワードのオンパレードになりがちです。言葉の暴力によって、さらにやる気の芽を摘んでしまうことになりかねません。

○○しなさい」と命令されるのは、子どもだって嫌なもの。嫌われてもあえて言うのは子どものためだからというのは、ウソではないとは思いますが、それだけでしょうか? 勉強している子どもを見て親が安心したいからではありませんか? そんな場合は、口先だけになりがちです。

本当に勉強に取り組んでほしいなら、環境を整えることが大切です。小学校4年生までは子どもの成績は親の成績と言われるくらい、ある程度のお膳立てが必要です。小学校低学年で学習習慣がついていないなら必要なのです。

学習環境を整えるといっても立派な学習机を用意するなどということではありません。「一緒に取り組む」環境です。スポーツにコーチがついているように、勉強にも伴走する人が必要です。ですから、勉強する場所は親の目が届くリビングなどがよいでしょう。

そして、「勉強しなさい」ではなく「(一緒に)勉強しよう」と声掛けすることが大切です。実際に教えるだけでなく、時にはタイムキーパーになったり、採点者になったり、音読に付き合ったりと、共に過ごすことを推奨します。

忙しくてそんな時間はないという方は、親は親で自分の勉強や作業の時間にあててください。本を読むでもよいですし、パソコンで仕事をするとか、ブログを書くでもよいと思います。とにかく一緒に取り組むという環境が大切です。これが、子どもの帰属欲求を満たします。

■帰属欲求とはなにか?

 欲求5段階説をご存じでしょうか。アメリカの心理学者、アブラハム・ハロルド・マズローが提唱した有名な理論で「人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、最も低い階層の欲求が満たされるとさらに上の欲求を満たそうとし、次第により高い段階の欲求を満たそうとしていく」という考え方です。

 底辺にあたる第1段階の「生理的欲求」とは、生命を維持するために必要な食事や睡眠などの欲求のことで、これが満たされないと不快感や苛立ち覚え、体調を悪くします。

 この欲求が満たされると、次の第2段階の「安全欲求」を求めるようになります。生活環境が安全で、安心して生きられる環境を保持することです。日々の生活が脅かされることのない状態にあると、次の段階の欲求に考えが向かうようになります。

 そして、第3段階の欲求が「帰属欲求」です。家族や学校、習い事などのコミュニティなど、集団や組織の一員として存在する欲求のことです。家族とつながりたいという基本的な欲求で、子どもには特に大切です。

 家族と共に過ごすことや、一緒に何かをすることで、このつながりを自覚していきます。これを十分に満たすことができないと、孤独や社会的不安を感じやすくなるので、成長期には、特に欠かせないものです。

英語は分散学習が適している?

意識的に人間は反復の有無に拘わらず、その単語のことは忘れてしまうといわれています。最新の認知心理学記憶研究に基づく、効果的な復習スケジュールというルールがあります。

1pen 2cookie 3kids という単語を覚えなければいけないという場合、

1.1pen、1pen、1pen、2cookie、2cookie、2cookie というように同じ語を反復しながら学ぶか
2.1pen 2cookie 3kids、1pen 2cookie 3kids、というように異なる語を順番に学んだ方がいいのか?

復習のスケジュールは、一般的に、「集中学習」と「分散学習」の2つに大別されます。集中学習とは、1つの項目を連続して学習することであり、分散学習とは、ある一定の間隔を置いてから、同一項目を復習することを指します。

この場合
[集中学習]1pen
、1pen
、1pen、2cookie、2cookie、2cookie という形で学ぶます
[分散学習]1pen 2cookie 3kids、1pen 2cookie 3kidsという形で学びます

これまでの研究で、学習時間や学習物の難易度が同じであれば、分散学習の方が集中学習より高い記憶力を持つことが分かっています。
分散学習の効果は19
世紀末にもう、発見されていたという記録があり、認知心理学のなかでも大きく認められていることです。ということは、試験前に一気に詰め込む「一夜漬け」学習は記憶には効率が悪いということです。学生時代に一夜漬けを覚えたことは、確かに大人になっておぼえていることはほとんどありません。

効果を発揮している教育政策は実に沢山あります

教育に関する議論を行う際には海外の経験を把握して吟味することが今後は更に必要となるであろう。日本が積極的に取り入れて推進してきた「少人数学級」、「子ども手当」、1人1台コンピュータ」等の政策は海外の教育政策効果の検証を見る限り、子供のリテラシーを伸ばす面で投資対効果が極めて低いことが明白になっています。

 

個人の経験」によってリードされてきたことの弊害がここにきて大きな問題にぶつかっています。例えば、マダガスカルのケースをみてみましょう。事前に「教育を受けることで高い経済価値が得られる」ことを伝えられた子供達とそうでない子供達との間で成績に大きな差が生じたという実証実験があります。そうでなかった子供達に情報を正しく伝えた後は学力が向上した成果の報告がありました。

先生は教育の要

子供達にとって自分の力ではどうにもならない問題を解決するポテンシャルをもっているのが先生ではないかと考えます。このことに力点をおいて、海外では先生の「質」についてどう定義するかというテーマに関する議論が侃々諤々行われていますが、残念ながら日本では問題視すること自体関心が低く、議論などはほとんどいっていいほど行われていません。日本では少人数学級政策を講じていますが、先生の数を増やしても質は変わらないと考えているようですが、果たして本当にそうでしょうか? 海外における研究成果として、先生を増やせば逆に質の面で低下して、その影響を受けやすいのが学力の低いマイノリティの子供達であると明らかにしました。つまり、先生の数と質はトレードオフの関係にあるということです。たとえ、アクティブラーニングが注目されていますが、これはまさに先生の質が問われてきます。先生の質は非常に重要な要素であり、かつ、議論すべき課題が多いといえます。